甘味処

備忘録

5人のファンになったあの日のわたしへ

などどいう、エモめの題名を思いついたので採用してみましたが、実際はファンになった瞬間を全く覚えていません。

気付いたら周りがハマっていて、気付いたら自分もその中の1人になっていて、気付いたらファンクラブに入っていて、気付いたら今でした。

だから結局のところ、理由とかきっかけは何を言っても後付けになってしまうんですが、嘘偽りは無いはずなので許してください。

誰に許しを乞うているんだろう。

 

それでも覚えている出来事がいくつかあるので振り返ってみます。

うたばんを録画したくて、その流れで家族に、ファンであることがバレました。まあ別に、隠していたわけでもないんですが。

誰が好きなのかという話になって、「待って、当てるから」と言われて素直に待ったのですが、3人ほど名前が上がった時点でもう思い付かなかったらしく、結局自担が出てきたのは最後でした。

その後、何かのタイミングで母からもらったプレゼントが、初の国立公演のDVDでした。今でもあの映像が一番好きです。

初めて行ったコンサートは10周年の東京ドーム公演でした。同じ時期にファンクラブに入った友達と一緒に、それぞれ別日で申し込んだところ両日当選し、しかもどちらもアリーナ席で、おそらく四半世紀分の運は使い果たしました。

大規模なコンサートへ行ったのは初めてで、興奮でまるで記憶はありませんが、この日のために緑色の服を買い、うちわを作り、早い時間から会場周辺で遊び、公演後会場を出る際、爆風に背中を押されてしばらく笑ったことは、朧げながらたまに思い出します。

一番ファンらしいことをしていたのはおそらくこの時期で、以降は、違う趣味に没頭したり、私生活が忙しかったりで、気持ちも熱もどんどん落ち着いていきました。

時間が出来たり自分でお金を稼ぐようになったり、何か大きな情報解禁があると、その度にフワッと浮き足立って、しばらくすると元に戻る、その繰り返しだったような気がします。

それでも自分はファンであると自称していたし、そのお陰で仲良くなれた人もたくさんいて、リアルでは勿論、ネット上で本名も知らない人たちと、共通の趣味で盛り上がることができる楽しさを知ることができました。

 

最近であるということも含め、活動休止が発表された日のことは、何よりも鮮明に覚えています。

あの日はバイトをしていて、ちょうど17時に休憩に入って、何となく本屋に行きたかったので一度外に出たんです。そういえばスマホを見ていなかったと思って、信号待ちをしがてら画面を開いた時に飛び込んできたのがLINEニュースの文字列でした。

周りの喧騒が聞こえなくなって、膝が笑うような感覚があり、落ち着こうと思って適当なトイレの個室に駆け込みました。

ツイッターを開けばTLはその話題で持ち切りで、普段アイドルのことなんて全く呟かないような人まで反応していて、正直それはちょっとだけ嬉しくなってしまいました。

会員限定で動画が上がっていると知り、すぐに再生しました。丁寧に、静かに、現実を受け入れていく自分がいて、それはきっと本人たちの声で直接聞くことができたからだと、今になって思います。

一気に3人くらいから連絡があり、ご飯の約束を取り付けて急いでバイト先へ戻りました。

戻ってすぐに「聞いてくださいよ!」と言いたかったんですが声が出ず、かと言って明らかに落ち込むのも自分勝手すぎると思い、ソワソワしていたらそれが表情に出ていたのか、怪訝そうに顔を覗かれたことを覚えています。

家に帰ってから会見の映像を見て、ネットニュースに上がった記事をしらみ潰しに読み、何かストンと納得できるような感情を探しましたが、結局この日は心がざわついたまま寝ることになってしまいました。

 

あくまで解散ではなく休止であって、グループの活動が見られなくなり、1人は完全にお休みするが、他は個人の活動を続けると、あらゆるメディアで知ったものの、自分の中で勝手に変換して認識していることが多々ありました。例えば、5人が再び揃うのは当分先のことになるのでは、とか、もしかしたら、そんな日が訪れない可能性もあるんじゃないか、とか。明言されていないというだけで疑ってしまって、思い込んでしまって、でもそれに対してとてつもなく深い悲しみを覚えたわけでもなく、それに違和感を抱いて言語化してみようと試みるも失敗し、何も分からない、という日々がしばらく続きました。

それでも刻一刻と時は過ぎ、気付けば今日という日を迎えているわけです。

 

おそらくファンであることを自覚し始めてから10年以上が経ち、ずっと同じ気持ちでいたと言えば間違いなく嘘になります。明らかに熱は冷めているし、担降りに近い状況と思う時すらありました。周りと比べるとハマり度合いも低く、別に、自分が応援したいように応援すればいいと思うのだけれど、そんな中途半端で良いのだろうかと悩んでしまうこともあり、それが楽しくないならいっそ見るのをやめればいいものを、でもやっぱり好きだし、と半ばしがみ付くようにしてきたのは自分だし、どんどん悪循環に陥っています。

SNSが始まったときも最初はものすごく嬉しくて、きっと、ファンになりたての自分が知ったら失神するくらい喜ぶんじゃないかと思ったけれど、今のわたしはそこまでの感情を抱かなくて、SNSに限らず色んなことを後回しにしてしまって、そうやって消化するのは失礼にあたるんじゃないだろうかとか、変な考え事をするようになって。

音楽やパフォーマンスも、最高!と思うときもあれば、他を見ている方が楽しいときもあって。何よりも5人を見ることを優先していた自分は、とっくに居なくなっていたことをひしひしと感じています。

 

でも、ここ数ヶ月、色んな場面で「最後」という言葉を見かける度にこみ上げるのはやっぱり寂しい気持ちで。今日という日を迎えたことも、とにかく虚しくて。わたしの中で僅かな量になってしまった愛情がここにきて熱を帯びていて、どうにかして形に残したくてこの記事を書いています。

それに伴って思い浮かんだのがこのタイトルだと思うんですけど。

 

5人を知ったことで、好きになったことで、確実にわたしが過ごす時間は彩り豊かになって、自分だけじゃ触れることがなかった世界にもどんどん足を踏み入れたし、考え方も変わったし、有ると無いとじゃあ、全く別の道を歩んでいたと思います。

あの頃想像していた10年後にはならなかったけれど、ここまでずっとファンとして過ごした時間は本当に楽しかったし、これからの時間にも必ず影響を与えるだろうし、そうであることがとても嬉しいです。

 

決して終わりじゃ無いけれど、わたしの中で1つの区切りになったような気持ちです。