甘味処

備忘録

もうすぐ夏ですね

特に何も用事がない日の朝、少し早起きして洗濯物干した時の優越感が好きなんですよ。

そういう日ほど天気も良好で、爽やかな風が室内に流れ込んでくる。

少なくとも6月上旬の現在、朝晩はかなり涼しく、窓を開けていると寒く感じることもしばしばあります。

ただ、真夏となると話が変わってきますよね。

あと数週間もすれば、日照りと湿気がもたらす不快感に負け、エアコンの温度を1つ下げることになるんだろうと容易に想像できます。

夏の訪れってわくわくしますよね。

基本的に、季節の変わり目というのは情緒的で美しいと感じます。

それは分かっているけれど、やっぱりそれぞれ嫌なところもある。

夏は暑すぎるし冬は寒すぎるんですよね。

夏における嫌なところってなんだろうと考えたんです。

空調の効いた涼しく快適な部屋から、一歩外へ踏み出した時に感じるもの。

せっかく時間かけて塗りたくった化粧が溶けていく苛立ち。

いくら喉を潤してもすぐに足りなくなり、勿体ないと思いつつ自販機に手を伸ばす

 

夏って、空気が止まったように感じませんか。

他の季節はもっと、風なり何なり、空気を動かしてくれるものがあるように思うんですけど、夏にはそれが無いんですよ。

蒸し暑さが面で押し付けられている感覚、まとわりついて離れないような、詰まっているような。

こう、ゼリーの中を無理やり進んでいるようで、どれだけ暑さ対策していようが関係ないんですよね。

何かしらちゃんと理由があるんだろうと思って、安直に「夏 空気が止まる」で検索しました。

エアコンの故障に関する記事しか見つかりませんでした、分かっていた。

空気が止まるというのはつまり風が無いことだ、という単純なことに気がついて、「夏 風が吹かない」で検索し直しました。

まあ、何となく予想はしていましたが、気圧配置の影響みたいです。

そもそも気温も高いし、ちょっとやそっと風が吹いたくらいじゃ不快感が拭われないんでしょうね。

湿気もあるし、汗もかくし、何かがずっと張り付いているような感覚になるのは当たり前でした。

調べてみると「そりゃそうじゃん」ってなることありますよね、正しい知識が再確認できるのは有益ですが。

 

凪、という現象?があるじゃないですか。

海沿いで、海風と陸風が切り替わるときに無風になる状態のことです。

いつどんなことがきっかけで、凪という言葉を覚えたのか忘れちゃったんですけど、知ったときはそこそこ衝撃的だったんですよ。

風が無い状態って有り得るんだ、と思って。

別段根拠もなしに、どんな場所でも風というものは吹いているんだと決めつけていたからかもしれません。

あまり海に行ったこともなかったし。

無風状態の海岸を思い浮かべて、うっとりしたことを覚えています。

 

真夏が近づくにつれて空気がじっとり重たくなって、分厚くとどまっているように思えると気づいたのは、それからしばらく経ってからでした。

この感覚が凪と同じかどうかは、比べたことがないので全然わかりません。

もし大差ないとしたら、凪にある種の憧れを抱いていた頃のわたしは、少しがっかりするような気がします。

遠い水平線を眺めていたら、風がぴたりと止み、さざなみだけが鼓膜を震わす。

そんな妄想を繰り返していたので、夏の不快感と酷似していたら、こんなもんか、と拍子抜けしてしまいそうです。

だからこそ、凪を知らないままでいいような気もしてきました。

海には行きたいけどなあ。

 

これだけ夏の短所をぐちぐち言っておいてなんですが、やっぱり待ち遠しいことには変わりありません。

スカッと晴れた青い空も、眩しく咲く花も、湿気を含んだ服の匂いも。

冷蔵庫に冷えた麦茶や、蝉しぐれ、風鈴の音、蚊取り線香の香り、夕焼けと長い影、遠くで聞こえる祭囃子、夜空に上がる花火、アスファルトでからんころんと鳴らす下駄。

やっぱり全部大好きなんですよね。

だから、もうすぐ夏が来るんだと思うと嬉しくなって、浮き足立って。

色んな情景を想像するだけで楽しみで仕方ありません。

 

でも結局、あのうだるような空気に嫌気がさして室内にこもるんですけどね。

暑いの嫌ですもんね~、今年も熱中症に気をつけましょうね。