甘味処

備忘録

映画「天気の子」の感想と諸々

※言わずもがなと思いますが、映画「天気の子」のネタバレを多少含みます。回避したいという方はご注意を。あるいはブラウザバックを。


中学生の頃かな、友達が紹介してくれたことがきっかけでRADWIMPSというアーティストを知って。以後アルバムは毎度買ってるし誘われればライブにも行くようになりまして。最初は、CDで出るものだけが音楽だと思ってたから、そう決めつけてたけど、今やYouTubeに投稿されたり、配信限定だったり、色々あることを知ったよね。彼らが作る音楽がとても好きだから、新しく曲が出ればそれがどんな媒体であろうと聞きたいと思うようになった。とにかく好き。聞いてて幸せになる。

だけど「君の名は。」は自分から見に行こうと思わなかったなあ。別に特別な理由はたぶん無いんだけど。あんみつ(筆者)は割と理由も無しに食わず嫌いする傾向があってね。治したいとは思ってる。

見に行かないだろうと決めつけちゃって、公開されてしばらく経ったときネットでネタバレ読んじゃったんだよね。本当に良くなかった。これはもう二度としないと決めてる。しかもあろうことか、ネタバレを読んだ直後に「見に行こうよ!」と誘われてしまった。断れず、ネタバレを読んだことは隠したまま見に行った。RADWIMPSは好きだし、映像が綺麗なことは知っていたし。

結果、すごく面白かった。ネタバレで読んだのは一番大事な部分だけで、細かいところは劇場で見て初めて知った。何よりRADWIMPSの音楽がとても美しかった。「夢灯籠」も「スパークル」も「なんでもないや」も、映画館から出たあとしばらく経ってもずっと耳から離れなかった。チョロいからすぐにサウンドトラックのCDを買った。WALKMANに読み込ませて何度も聞いた。飽きるほど聞いた。実際何度も飽きた。

私がRADWIMPSを聞くようになったのは、アルバム「絶体絶命」が発売された頃。そこから過去のアルバムをどんどん遡って、ずぶずぶハマっていったのね。特に好きなのはやっぱり、「無人島に持って行き忘れた一枚」と「おかずのごはん」ですね。知ってる人は知ってるだろうけど、RADWIMPSって人間の本能的なところとか、性的な部分とか結構歌ってて。「絶対絶命」には「君と羊と青」みたいなスカッとした歌もあれば、「狭心症」みたいな暗くて悲劇的?な歌もあって。私はどちらかといえば、汚い部分をさらけ出すような歌が好きだったから、この頃めっちゃ楽しかった。

でもね、2年後に出た「×と○と罪と」は、有名なあの「五月の蝿」も入ってたんだけど、清らかで鮮やかな傾向に向かい始めてる途中なのかな〜って感じた。全然、どの曲も大好きなんだけど、全体の雰囲気が「絶体絶命」の時よりも中途半端に感じちゃったのね。ちなみにこれは私がアルバムだけ聞いて思ったことで、インタビューとか本人たちの言葉を聞いた上で〜とかでは全くないので、異論は認めるし何なら間違ってる自信もめっちゃある。別に、変わって行くことに不満を感じたわけじゃないし、方向性しっかりしろよって怒ったわけでもない。そうなのかな〜って感じただけ。何度も言うけど私が勝手に思っただけだしね。

そんでね、そんなことを感じてたら「君の名は。」の音楽を担当することが発表されて。新海誠監督の作品は見たことがなくて、映画の感じとRADWIMPSの音楽がどう合わさっていくのかなって何となく気になってはいたんだよね。で、実際に映画を見て音楽を聞いて、ああこの人たちは、本当に綺麗で美しくて、泣き出しそうなくらいキラキラしたものを生み出すようになったんだって、思ったのね。同じ年に「人間開花」っていうアルバムも出て、「前前前世」とか「スパークル」も入ってるんだけど。このアルバムの曲を聞いた時、3年前のアルバムの、どっちつかずに感じたところはもう無いなって思えて。すっごいスッキリした感じというか。新しい真っ白なキャンバスに新しい絵の具と筆で絵を描いていく感じというか、ね。

人間開花」は縁あってライブにも行かせていただきまして。


このライブめちゃくちゃ楽しかったなあ。翌日筋肉痛がすごかったし声もガラガラになって、何なら風邪引いたからね。全てを持っていかれたんかな。

君の名は。」フィーバーもあって露出も増えて、でもテレビで見るRADWIMPSは私が知ってる大好きなRADWIMPSのまんまだったから嬉しかった。テレビ出たからって変わるわけないんだけどね。たぶん勝手に不安になってたんだな。

ほんで、1年後にまた新しいアルバムが出るのね。よく考えたら今までにないくらいハイペースだな。このアルバムはコラボが多いイメージかな。ワンオクのTakaとかあいみょんとか。格好良さでぶち上げられたり、切なさでどん底まで突き落とされたり、感情が忙しくなるけどどの曲も最高。特に「PAPARAZZI」は世間を皮肉った内容だけど、歌詞見たときは正直嬉しくなっちゃったね。

そんなこんなでやっと本題ですが、「天気の子」の公開が決まり、またRADWIMPSが音楽を製作することが決まった、と。見に行く時間があるかどうかとか色んな理由で迷ってはいたけど、「君の名は。」を劇場で見た感動が忘れられなかったから、可能であれば大画面で見たいなとは思ってた。結果から言えば劇場で見たんだけど。

で、まあ、見たあとに思ったのは、やっぱり音楽が本当に素敵なのと、個人的には「君の名は。」より好きだった。


一人で、かなり観客数が少ないところで見たんだけど、一回涙が出たなと思ったらそこから止まらなくなっちゃって。何なら声も出そうになっちゃって、焦った本当に。鼻をすするタイミングとか頑張って調整した。
君の名は。」ももちろん美しかったし、あの時の音楽も大好きだけど、「天気の子」がそれを上回ってきたような感じがして。ストーリーに感動した部分もあるけど、あの空の美しさと、RADWIMPSの音楽が合わさった時に、どうしようもなく胸が締め付けられて、ただただ涙が溢れて止まらなくて。こんなにも美しい景色が見れたこと、美しい音楽を聞けたこと、体験できたことがすごく嬉しくて。

今回の映画があってのことというわけじゃないけど、RADWIMPSを知って、好きになって、今まで聞いてきて本当によかったなって心から思えて。だから何となく、この機会に言葉にして残しておこうと思って。

映画の感想を書くついでに、前説程度にRADの話しようと思った結果、半分以上埋めちゃったっていうね。そういうことです…。

いい加減、映画の感想を書きますね、はいはい。

この映画を見て一番強く感じたのがこれなんだけど。


結構バズってたやつだから見たことある人多いと思うし、色んな人が似たようなこと言ってたけど、オタクを経験したことある人、刺さらんかった?なんか、懐かしくならんかった?どうでもいいけどこの前、この人絶対オタクこじらせたことあるよなっていう知り合いに会ったから「天気の子」見たかどうか聞いたら、監督アンチの人だった。そういう人もいるわな。申し訳ないことをしてしまった、双方に。

思春期、特にアニメとか漫画とかたくさん摂取してたから、理不尽なこととかやるせないこととかがあった時に、世界が変わればいいと思ってたんだよね。現実世界で自分が変わることはできないから、何かの突然変異で力を授かるか、天変地異で環境がガラリと変わればいいと思ってたんだよ、たぶん。自分の頭の中で作り上げる世界で、何をしても良いし何が起こってもどうにかなるし、無敵というか、怖いもんなしというか。でもいくら頭の中で想像しても、月曜日の朝は来るし、宿題はやらなきゃいけないし、将来のことだって考えなきゃいけないし、現実からは逃げられないんだよね、当たり前だけど。だんだんそういうことに気付き始めて、アニメとか漫画とか見ると「結局ありえないしな」ってつまらなく感じるようになっちゃった。

「天気の子」は、終始かなり生々しくて、自分の身の回りで起こっててもおかしくないことだな〜と思いながら見てたの。晴れ女の力があるところとかも。でも穂高が、陽菜が居なくなっちゃう、助けなきゃ、自分には何ができるんだろう、走るしかないな、って思い始めたあたりから急に、私が生きる世界もこうであれば良いのにな、とか、穂高や陽菜のように生きたいな、理想だな、って思えてきて。特に彼らは15、6歳で、まだ子供扱いされたり、大人の指示に従わなければいけなくて、自由が効かない生き方を余儀なくされているのに、叶えたいものとか、変えたいものとかの為に、逆らったり歯向かったりするわけよ。それがものすごく羨ましく感じて、自分の思春期はとっくに終わってるのに、今からでもこういう生き方ができないかなって憧れるくらいで。かっこよかったんだよなあ、とにかく。

その、憧れすら抱く彼らの映像を見ながら、流れる音楽はとても美しくて壮大で。野田さんの声は清らかで透き通っていて。全てが完璧に合わさった瞬間はもう、私の理想はきっとここにあるんだとさえ思えて。だからこそ、この映画を見ることができて本当によかったなあと思ったんだよね。


あと、少し不思議に思った体験。自分と同じ世代の人の感想をちゃんと聞いたわけではないからなんとも言えないけれど、親世代はこの映画がよくわからなかったらしく、へえ〜と思った。(語彙力)個人差があるのは当たり前だけど、「君の名は。」が老若男女関係なくいろんな人に受け入れられたことを見ると、アニメで嫌悪感を感じているわけではなさそうだし、やっぱり物語性なのかなあとか考えちゃって。

でもこれに関してはぶっちゃけどうでもいいって思っちゃった。だって私自身が実際に劇場で見て面白いって感じたんだもん、別にそれでいいじゃんね。

じゃあなんでこの話したんだよっていうね。

そんなこんなで何が言いたかったかと言うと、RADWIMPSは相変わらず好きだし「天気の子」はとても素晴らしい映画でしたということです。公開されてからだいぶ経ってしまったけど、まだ上映されているところもあるし、なんならMX4Dもやってるらしい。めっちゃ雨降るんだろうね。まだ見てないけど興味があるという人はぜひ劇場で見てみてください。